• テキストサイズ

*名探偵コナン*短編集*

第4章 *File.4*降谷 零*(R18)


「私達も帰ろっか」
「……」
「どうしたの?」
「消毒」

踵を返そうとするのを引き止めて、この腕の中に抱き締めた。

「お前はズルいオンナだって、責めないの?」
「責めるワケがないだろ」
「……」

お前の本心は、さっきこの耳でちゃんと聞いた。
ヒロはそのつもりで、何も告げずに此処へ呼んだ。
雪乃と、俺を。

「誰もが当たり前のことだが、色んなことを経験した過去があって、今の雪乃と俺がいる。ただ、それだけのことだ」
「のワリには、容赦無かったけど?」
「愛するが故だろ」

俺自身が一番驚いた。
誰かの所為であんなにも嫉妬に駆られたのも、溢れ出し暴れ回る自分の感情を止めらなかったのも、あれが初めてだったんだ。

「だったら、許してあげる」
「謝らないぞ」

仕事ではなく恋人同士として初めて二人で過ごした夜に、半ば無理矢理抱き潰してしまったことは。

「うん」

そんな想いもきっと、雪乃には届いている。

「愛してるよ、雪乃」
「私もよ、零」
「!」

重なる視線は柔らかなモノに変わり、そっと瞼が伏せられたのを合図に口付けを交わした。

アイシテル

心の中で、もう一度そっと呟いた。

俺の中で満ち溢れるこの想いが、少しでも雪乃の心へ届き伝わるようにと、願いを込めて…。


/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp