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酸化した世界で君と詠う

第2章 全ての始まり


「なるほど、そのポートマフィアに入れば虫除けになるってことか……」

「そうそう」

「でも…お父さんが許してくれないと思う」

「自分で決めればいいじゃないか、他の人の意見なんていらない」

琴華は思った、そもそもお父さんが主な原因なのではないかと、自分の父親の仕事を理解していない…というよりわからなかった、父親の全てが
嫌いなものとか、好みとか、あまりコミュニケーションを取っていなかった琴華は怖くて、分からない人だと思っていた
授業参観にも来なかった親を本当に親と呼べるのか当時の琴華は思った
もしかしたら自分には存在価値がないと思うようになった
そしてこの太宰という男の言う通りこのままマフィアに入ったほうが自分の身の安全を保証されそうだし、異能力を操り何か出来るのではないかと


「わかった、私……マフィアに入る」

「嗚呼、忘れていたよポートマフィアは君が望んでいるものは何もない、毎日のように死があり、殺しがある…それでも入るのかい?」

太宰は思い出したように言葉を付け足す

「人を殺した事実は変わらない、私を必要としてくれるのなら殺しだってする……」

(ごめんなさい、お父さん)

「なら決まりだね、ようこそ闇の世界を支配する我々ポートマフィアへ………よろしくね、月詠琴華」

月明かりに照らされた太宰は綺麗だった
太宰が手を差し出して琴華はその手を取った

(もう後戻りは出来ない……)



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