第11章 懐かしい夢
また……夢を見た
幼い頃に見た夢とは少し違う
「うん?」
気づいたら目の前には大きな桜の木、その下に人影が見えた
琴華は走って行くとその人影が見えてきた
人影は後ろを向いていた
「お母さん……」
以前、森から渡された写真を思い出し、確信した
琴華の母は振り向くと微笑んでこう言った
「あなたにも愛する人がいて良かった、少しは安心出来る……でも、これから降りかかる災いがある……あなたと太宰君ならきっと乗り越えられる……かつての私と燈夜君のように……ねぇ、琴華」
琴華の母は愛おしそうに琴華を見つめ、またこう言った
「あれを、あの文学書を守って……あれは__」
琴華の母が何かを言いかけたとき、琴華の目の前には桜の花びらで視界を奪われた
「文学書って何!?お母さん!!」
琴華の意識はそこで途切れた