第32章 唯一の家族
「なら私を遠ざけていたのは!?太宰さんに私の事を反対したのは!?この際喋ってくださいよ!どうせ嫌われたいなら全部話してから好きにしてください!自分だけ満足して終わらせないでください」
「お前の母親は神界にある月詠家の掟を背いて死んだ……お前を残して、お前が神界の月詠の血が流れているし掟に反しているから衰弱して死ぬのかと思った、だから俺は反対した」
「お前が選んだ男だ、別にそいつに遊ばれて捨てられようがそれも人生経験であり、お前の判断だ、そこに関しては俺は似たようなことをしていたからな、咎めるつもりはなかった」
「彼奴は蔑ろにしてない、ただ接していた、理解していたさ、“こいつは琴華を捨てたりしない”ってそれが判る度に彼奴への態度が判らなくなっていったさ」
「だからお前と太宰の交際を許すさ、太宰には言わねぇけどな、問題ないと判ったら俺が拒む理由はねぇよ」
「では何でこの数十年……私に冷たくしてきたんですか……そこまで私の事を考えているのなら」
「もういいだろう、いい加減にしろよ」
燈夜は琴華に顔を背けた
「逃げるのですか!ここまで話して!!」
「別に俺はお前に許されたわけでも、親として愛されたいわけでもねぇんだ、もうお前に関わる話はしただろう」