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酸化した世界で君と詠う

第30章 月詠燈夜の最高で最悪な過去


「……楽しかったからです、あなたと話していると自分がマフィアの人間ではないような気持ちになります」

「ならマフィアを抜けろ、例えポートマフィアが琴葉を殺しに来たとしても俺が追い払ってやる」

「頼もしいですね、燈夜くんは……でも私を拾ってくれて世の中の仕組みを教えてくれた人達を簡単には裏切れない……だから」

琴葉は短刀を抜き、燈夜を斬ろうとするが燈夜は避ける

「手前が本気なら俺も容赦しねぇ」

琴葉は拳銃を持って撃つ
燈夜は避けながら煙玉を地面に叩きつけ、辺りが煙に覆われる

「見えない……」

琴葉は焦る
視界が晴れて前を見ると燈夜の姿は見当たらない

「!?」

「終わりだ」

琴葉の耳元から声がするそれと同時に燈夜は琴葉の首にナイフをあてる

「私はここで終わりのようですね」

琴葉は諦めたように呟く

「嗚呼、お前は終わりだ……だが選択肢をやる」

「選択肢?」

琴葉は燈夜の言葉を聞いて首を傾げた

「俺はお前に惚れている、だから惚れた女を殺すのは気が引ける……俺と一緒に暮らすか、俺がお前を見逃してこれから俺の恋人として関わるか選べ」

「ははっ、口説いているのかわかりませんが結局あなたと関わらないといけないのですね」



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