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酸化した世界で君と詠う

第30章 月詠燈夜の最高で最悪な過去


「すみません、何でもありませんよ……ところでお嬢さん、お名前を伺ってもいいですか?」

「……恥かしい話ですが私は記憶喪失というものらしくて名前を思い出せなく、今はありません」

(記憶喪失か……)

「名前がないと不便だと思いますし俺が勝手につけても大丈夫ですか?」

「お手をかけてすみません……お願いします」

「はい……」

(女らしい名前……俺好みにするか……)

「では琴葉なんてどうでしょうか?」

「琴葉……素敵な名前……あの自分で名乗ってもいいでしょうか?」

「いいですよ」

そう答えると琴葉は喜んだ

「あ、苗字……どうしよう」

「琴葉さんが嫌でなければ俺の苗字でいいのではないでしょうか?」

「何から何までありがとうございます」

琴葉は嬉しそうにする

「琴葉さんが喜んでくれるだけで俺は幸せです」

琴葉は頬を染めた

「そう言えばあなたの名前は?」

「俺は月詠燈夜と言います」

「燈夜さん……格好いい名前ですね」

気づいたら琴葉はお酒を飲んだせいか、頬が赤い

「ありがとうございます……今日はもう遅いですし俺が泊まっているホテルに行きませんか?」

「そうですね……泊まる場所はないしお願いします」

(本当にこれでいいのか?俺は今夜この天使みたいな女を__)


琴葉を連れて行き燈夜が泊まっているホテルの部屋に着いた
燈夜は琴葉と普通に一緒に寝て朝を迎えた


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