第15章 照島遊児 奪いたい
照島side
『とりあえず部屋あがっててくれる?氷持っていくから!』
何度か遊びに来たことがある花澄の部屋
つっても勉強会って名目で
バレー部の2年の奴らときたから
2人っきりになるのは初めてだ
相変わらずいい香りのする整理された綺麗な部屋
床に座って待っているとパタパタと階段を駆け上がってくる音がする
『お待たせっ‥!どう‥?痛むよね‥?』
俺の目の前にしゃがみ込んで頬に氷が入った冷たい袋をあてながら
心配そうに見上げてくる
「痛いってより‥」
『より‥?』
「何で俺以外のやつと付き合ったのか教えてほしい」
『‥えっ?!』
氷を持っているから冷たくなっている手ごと掴んで引き寄せると
目の前で大きな目をぱちぱちと見開いている
「こんなに俺がお前の事好きっつってんのに‥何で他校のやつと付き合ってんだよ」
『だって‥それは‥』
何かを言いかけて
思いとどまったのか顔をそらせたままギュッと口をつぐむ
「そんなに澤村さんが良かったんだ?」
ビクッと揺れる華奢な身体を抱きしめて
赤く染まった耳朶を優しく噛む
「確かに‥俺なんかより真面目そうだし?ガタイもいいしなぁ‥優しくて‥こっちの方も優しくしてくれそうだよな?」
部屋の中には2人きり
さっきまであんな事があったから優しくしてやりたいはずなのに
他の奴にこいつをとられたと思うと
今すぐに奪ってやりたくて仕方がなくなってきた
『こ‥こっちの方‥?』
「もうヤってんだろ?」
ずっと触れてみたかった大きな胸に手を伸ばす
『っ‥照島君‥』
「ずっと俺が狙ってたのに‥何で横から来たやつにとられなきゃなんねぇんだよ‥」
『わぁっ!‥ま‥待って‥なにするの‥?』
ヒョイっと身体を持ち上げてベッドへと組み敷くと不安そうに見上げてくる花澄
「何って‥花澄を俺のもんにすんの‥」
『んっ‥だめだよっ‥てるしまくんっ‥』
「逃げんなっ‥俺が烏野のマネージャーが好き‥?ふざけんな‥どれだけ俺がお前の事好きか‥身をもって思い知れ‥」