第1章 恋の季節【空回り】
『聞いて驚くよ沖田!何と今日はあなたと私の出逢ってから1年記念日です!』
「…は?」
ある日のお昼休み、教室でお昼ご飯を食べる沖田を見つけた私はすぐ様駆け寄り、彼と向かい合わせになるように座った
『え、もしかして忘れちゃったの!?ほら、沖田が私を助けてくれた日だよ』
「ちょっと待て、忘れたも何も俺はお前と出逢ったことは既に記憶から抹消済みでさァ
…それから何回も言ってるが、俺はお前を助けた覚えはねェ」
そう言って私から目を逸らす沖田
『沖田は忘れてるかもしれないけど、本当に助けてもらったんだよ!…』
そう、あれは丁度1年前の今日…
- キャッ! -
パシッ
- 大丈夫ですか? -
- はい、ありがとうございました! -
- いや、あなたのそのチャーミングな顔を見たら…助けずにはいられなくて -
- ズッキューン! -
そう言って彼は名前も告げずに王子様の如く去って行った
「誰でィそれ。…チャーミングとか今時少女漫画でも言わねェぞ」
『ビューティフルフェイス…だったかな?』
「勝手に捏造すんなキメェ…」
『き、きもっ!?』
確かに…今のは少し美化し過ぎたかもしれないけど、捏造なんかでは決してないし…何と言われようと沖田に助けてもらったのは事実だ。
「つーか、お前何しに来たんでィ」
『…え?』
「まさかそのわけわかんねェ妄想聞かせるためにわざわざウチのクラスに来たんじゃねーだろうな」
『あ、ううん。たまたま廊下歩いてたら沖田の姿が見えたから声掛けてみただけだよ!』
「…へェ、じゃあさよなら」
シッシと手で私を追い払う沖田を見つめ溜息をつくと
「オイ…」
急に後ろから声がした為振り向くと、そこには瞳孔の開いた黒髪の男の子が私を見下ろし立っていた
そうだ!確かこの人沖田と同じくらい女子達から人気の…土方君だ!!
「そこ…俺の席だからどいてくんねーか」
『あ!ご、ごめんなさい』
サッと席から離れると土方君は席に座り沖田と何やら話し始めた
土方くん…沖田と仲良いのかな?
沖田が一方的に土方くんをいじってるようにも見えるけど…あんな風に沖田に話してもらえるなんて羨ましい…。
二人の様子をぼーっと見つめていると突然後ろから誰かに腕を掴まれた
「結衣見つけたー」
『え!?』