第2章 大切なのは中身より気持ち【星の砂⭐︎】
『って眠れてるわけないでしょうが!こちとら寝不足でクマ出来てるんですよ!?』
「まぁそんな疲れてるお前を考慮して昨日はお前が書類片付けたらやらせようと思ってたモンも無しにしてやったんだしいいじゃねェか」
それに、と続けて沖田隊長は言う
「お前の寝顔があまりにもブッサイクだったもんだから誤って他の隊士達が見ちまって士気が下がらねェように毛布被せてやったんでィ、感謝しろィ」
『あぁそうなんですか…それはわざわざすみませんね!!!』
怒りを抑えながら黙って席を立ち、食堂を出ようとする私に土方さんが言った
「オイ結衣、昼から俺と見回りだから隊服に着替えとけよ」
『すみません副長、私行きません』
「はぁ?何で…」
土方さんが言いかけた時、私は勢いよく彼に振り返った
『これから二度寝するからに決まってるじゃないですか!仕事なんかやってられませんよ今日は!!」
そう言って四股を踏みながら私は食堂を後にした
「…アイツなんであんな機嫌悪ィの」
「さあ?何でですかねィ」
あとから山崎さんに聞いた話によると沖田隊長は私が去ったあと、ちょくちょく携帯を見てはニヤニヤと頬を緩ませていたらしい
沖田隊長に一体何あげたの?なんてしつこく聞かれたけど、正直何もあげてないと言えばあげてないし、何かあげたと言えばあげたかもしれない…私の貴重な時間的なものを…。
沖田隊長の誕生日が過ぎても相変わらず彼は彼のままで、いつも通り…だけど私に対しての嫌がらせの頻度は増えた気もする…。
だからあの誕生日の夜、
沖田隊長が私の寝顔をこっそり携帯で撮っていたことなんて
私は知りもしなかった