第2章 大切なのは中身より気持ち【星の砂⭐︎】
これは今から少し前の夏の日のお話。
『え、誕生日?誰のですか?』
「だから沖田隊長!」
いつも通り自室で誰かさんの溜まった書類を整理していると山崎さんに声をかけられた
山崎さんによると、今日7月8日は沖田隊長の誕生日らしい
『へぇ、そうなんですね』
「いや反応薄!?もしかして忘れてたの?」
『忘れてたも何も…今初めて知りましたし』
そう言うと山崎さんは"マジでかー"と言いながら床に手をついた
「だから沖田さん朝から機嫌悪くて俺に八つ当たりばっかしてきたんだー」
『え、沖田隊長機嫌悪いんですか』
「うんまぁ、あの人のことだから誕生日がどうとかってわけじゃないと思うけど、同じ隊の結衣ちゃんに忘れられてたのはやっぱりショックだったんじゃないかな…」
そう言いながらジっと私を見つめる山崎さん
『いやだから忘れてたわけでは…』
「はぁ…このままだとまた沖田隊長に八つ当たりされるだろうなー」
え、何この流れ…もしかして私が悪い感じになってんの!?
『あ、じゃあ今からお祝いのメッセージでも伝えてきましょうかね』
そう言って笑うと山崎さんは立ち上がり私の肩を掴んだ
「うん!それがいいよ!一刻も早く言ってきた方がいいよ!さ、行って行って!あ、プレゼントも忘れないでね!」
何なの、何か物凄く腹立つんですけど!!
でも確かに、上司である沖田隊長の誕生日を知らなかったことは…少し問題かもしれない。
そういえば、他の隊士のみんなは知ってたのかな…。
自室から出て、食堂で昼食を食べる隊士達のところへ向かった
「あったり前よっ!沖田隊長の誕生日くらい知っとかねーと…なぁ?」
「そうそう、常識よ常識!」
『へ、へぇ…みんな知ってたんですね…。あ、神山さんも知ってました?』
「もちろんス!隊長のことなら髪の毛1本から足のつま先まで隈無く把握してるッス」
『いやそれはそれで気持ち悪いです』
「ところで、そういう大石さんは沖田隊長に何あげたんスか!?」
少し前のめりになって私を見つめる神山さんに冷汗を掻いた
『あ、こ、これから渡そうかなって思ってるんです!』
「沖田隊長なら今は見回りに行ってると思いますよ」
『あ、そ…そうなんですか!じゃあちょっと探してきますね』
そう言って私は急いで食堂を後にした