第11章 電話越しの彼
どれくらい経った頃だろうか。
あれから私は少し眠ってしまったようで、目を覚まし時計を見ると時刻は9時を回っていた
携帯を開くと妙ちゃんからの着信が2件程あったが、沖田からの電話は1度もない
- もし、沖田くんも同じ気持ちなら…彼もきっと来てくれるわ -
妙ちゃんの言葉を思い出し、テーブルに顔を伏せた
やっぱり…私はもう沖田に気持ちを伝えることも出来ないのかな。
たくさん伝えたいことあるんだよ、たくさん聞いてほしいこともあるんだよ…。
もう…自分に嘘はつかないって約束するから
『会いたいよ…沖田』
気づくと両目からは涙が流れ私の頬を濡らしていた
するとガラッと部屋の襖が開いて息を切らしながらそこに立つ人物に私は目を大きく見開いた
「…吉野ッ…」
『おき…た…』