第8章 それぞれの片想い
「じゃあな俊!」
「おう、また明日な」
友達と別れて家に入ろうとする石田くんにそっと近づく
『ちょっと待ったぁぁ!そこの君!』
「うわっ!何だよっ!?」
『ちょっと話があるから!さっ中へ入って!』
「はぁ!?ここ俺んちだぞコラッ!」
私は暴れる石田くんを連れて無理矢理家の中に入った
テーブルに向い合わせで座りお茶をいれる
「…」
『はい、お茶』
「だからここ俺んち。何勝手に入ってきてんだよ不法侵入で訴えるぞクソババア」
く…!?
『誰がクソババア!?私はまだピッチピチの18歳よ!!』
そう言って石田くんの頭を叩くと彼は「いってーな」と言って私を睨んだ
「つーか高3が俺に何の用だよ!」
くッ…年上に敬語なしかい…
予想以上にむかつくわこの男!!
でもここは我慢だ私!!
『うん…あのね、たーまたま見ちゃったんだけどさ…女の子にむかってブスとかちょっと酷いんじゃないの?」
「ハッ…覗きかよ、趣味わりィ」
ブチッ
『だから、たまたまだって言ってんでしょーが!!』
またまた石田くんを叩く
「いってぇ!!何すんだクソ女!」
『痛い?当たり前でしょ。すずっ…さっきの女の子はもっと痛い思いをしてるの!心に傷がついたのよ!』
「本当のこと言って何が悪いんだよ」
『そういう問題じゃない!!言い方の問題よ!』
怒鳴る私に彼は一瞬目を見開いた
『彼女は良い子だよ。確かに…大人しいし口数も少ないかもしれない。でも心はすごく優しくて…一途なんだから!!』
「…なんであいつのことなんかわかんだよ…」
『わかるよ…』
私だってどんなに突き放されたって…その人を想うその気持ちが本物なら何度でもアタックしに行くもの。
でももしその人の口からブスなんて…
言われたら私…。
『あ…』
「!」
気づくと私の頬には涙が伝っていた
いけない!!泣いちゃ駄目だ私!!
『と、とにかく…もう二度とブスなんて言うな!』
私は立ち上がり急いで家を出た