第1章 一途な恋
『それが沖田、私の運命の人です!』
そう言って沖田を指差すと彼は物凄く嫌そうな顔をした
「それ、サドじゃないアル」
『沖田だよ!』
「でも、ロマンチックね」
「くだらねェ…」
な、くだらなっ!!?
沖田の一言に肩を落とすと、彼は私を睨みながら口を開いた
「まず俺ァそんなことした覚えねぇし、大体栗色髪で赤目の奴なんて他にいくらでもいまさァ。…どうせ勘違いだろィ」
『ううん、絶対沖田だもん!
私が生まれて初めて恋した人…私はそんな沖田が好きなの!』
少し俯いて言うと沖田ははぁー…と溜息をついた
「勝手にしろィ。俺ァ別にお前のことなんて好きじゃねぇけどな」
そう言って沖田は教室を出ていった
『…。』
「えっと…大丈夫?桜ちゃん」
『うん…全然平気ぃ~クズッ』
「全然平気そうに見えないんだけど!!」
それから私が泣き止むまで慰めてくれた後さっちゃんが言った
「そういえばさっきの話って確かなの?」
『それが…実はあんまり覚えてなくて…でも栗色の髪なんてこの学校では沖田くらいだと思ってたから…』
「曖昧ね…」
確かに沖田だという絶対的な証拠はない。
でも、それでも私は今の沖田が好きなんだ…だからこの気持ちに嘘なんてない…。
少し考えていると妙ちゃんが言った
「案外沖田君も忘れちゃってるのかもしれないわね」
『うん、そうかもしれないね』
「何はともあれ俺は応援してるよ桜ちゃん」
『ありがとう!ゴリラさん』
「……え?」
『どうしたの?』
「この状況でゴリラってひどくね?」
『うん?』何を言ってるんだろ…
「えっ!!ひどいですよね!お妙さん!」
近藤君がチラッと妙ちゃんを見ると、彼女は笑顔で親指を自分の首に向けそのまま横にスライドさせた
「お妙さん!?ちょ、どういうことですかそれ!」
「そういうことです」
そうだ、妙ちゃんの言う通り沖田が忘れちゃってるだけなのかもしれない!
きっと今に思い出して私のこと「好きだ」って言ってくれるに違いない!!
よし、待ってろ沖田ぁ!
絶対に
絶対に振り向かせてやるんだからぁ!!