第7章 踏み出す勇気
あれ…?
沖田…だよね。
なんで…なんであの沖田が私を抱きしめてるの!!?
ちょっと待ってよ何この展開!?
どこの少女漫画!?
た、確かに今まであの沖田が私を引き止めるっていうシチュエーションはずっと夢見てきたけど、こ、こんな急じゃ心の準備が!!
「吉野…俺…実は」
『……ッ』
「いやーこんな時間に桜ちゃんアツアツだね~」
「『!!?』」
な!な!
次の瞬間沖田はハッと我に返って私から離れた
なーーっ!!?
私は視線を沖田から別の人物に移す
『中村さんんんん!!空気よんで!お願いだから!!』
「すまんなー」
彼は近所に住む中村さん。
私が高校に通い出してからよくお世話をしてくれるとても親切な人だ。
だけど…
中村さん、普段はあまり家から出てこないくせになんで今日に限って、しかもこのタイミングで出てくるのよー!
沖田はというと私に背中を向けてさっきから何も喋らない
ど、どうしよう!!
『お、沖田…あの、さ、さっきの続きを…』
私がそう言うとさっきとは全く違う、無の表情で
「俺、実はさっきからお前が鬱陶しくて仕方ねーって思ってた。んだからさっさと家入れ。じゃっ」
そう言って早歩きで行ってしまった
『……。』
「あらら、フラれたね」
そう言って静かに私の肩に手を置く中村さん
うそ…。
『Nooooooo!!!』
「近所迷惑だよ」
うわーそんなぁぁ!!
ミツバさん、私の恋はそう簡単には実りそうもありません。