第4章 嵐再び
[沖田side]
「オイ総悟、吉野のやつ…どこまで行ってんだ?さっきから全然見当たらねぇぞ」
「知りゃしませんよ。山本も一緒だし、大丈夫ですよ」
そう吐き捨てるように言った俺に土方は言った
「お前さぁ…山本のこと好きなのか?」
「…は?」
「いや…お前何かといえばすぐ"山本が"って言うから気があるんじゃねーかと…」
「それは…」
言えねぇ!!吉野の名前を出したくないからだとか死んでも言えねェ!
「違いまさァ、俺に彼女は勿体ねェくらいでィ」
「…そうか」
言いながらこちらを見る土方…
ほんとムカつく野郎でィ。
一発バズーカでも撃ってやろうかと思った次の瞬間
「きゃあああああ!!!」
向こうの崖の方から女の叫び声が聞こえた
「土方さん今の!」
「とりあえず行くぞ!」
今の声は山本だ!間違いねぇ!
急いで崖の上まで向かうとそこには何人かの野郎に腕を掴まれている山本と
「……吉野?」
両腕を縛られ頭から血を流して倒れている吉野の姿があった
「テメェら…」
俺は野郎を睨んだ
「おっと、俺たちに近づくとこの嬢ちゃんたちが危ないぜ?」
なんて奴らでィ!
「ほんと近頃の若者は無用心すぎるんだよね…大した力も無いくせに度胸だけは一人前にあってさぁ…こいつみたいに!」
そう言って男は意識の無い吉野に近づき髪を引っ張る
「さわんな…」
「あ?」
「そいつに触んじゃねェ!!」
俺は無意識に男を殴っていた
その隙に土方さんも山本を掴んでいた野郎達を殴る
しかし俺と土方さんが相手にしている他にもう一人いた男が吉野を崖の上から落とそうとしていた
「や、やめろおおおお!!」
遅かった…
勢いよく海の中に落ちた吉野
俺は大きく目を見開いた
土方さんも山本も
「い、いやぁああああああ!」
吉野!!
俺は直ぐ様自ら海に飛び込んだ
「そ、総悟オオオ!」
どこだ吉野!
必死に回りを見渡してようやく彼女を見つけた
頭の血は止まっていない
クソ、手足を縛られてやがるのが厄介だ。
俺は彼女の唇に自分の唇を重ね酸素を与えた
頼む…死ぬな吉野…。