第1章 一途な恋
授業の終わりを告げる放課後のチャイムが鳴った
「はーい、みんな背中に気をつけて帰るよーに」
「なんでだよ!」
いつも通りだるそうに授業を始めた銀八先生はだるそうに授業を終え、意味深な言葉を残し教室を去って行った
次々と教室を出ていく生徒達、その中に混じって彼も教室を出ようとしている
やばい、帰っちゃう!
私は必死になって彼を呼び止めた
『お、沖田っ!!』
落ち着いて私、練習したでしょ!
『あのっ…』
大丈夫…今度こそ成功するよ!
『好きです!』
伝えなきゃ!
『好きです…私と付き合って下さい!!』
「嫌でィ」
『…………。』
…あれ?
私の耳…おかしいのかな。
一つ咳払いをして改めて目の前の彼を見つめる
気を取り直して…よし、さっきの笑顔で!
『私とつ…』
「何今のなかったことにしてんでィ」
吉野桜、高校3年の春。
どうやら私はまた、駄目だったみたいです。