第21章 卒業【最終回】
[山崎side]
あの日、桜ちゃんがこの町を去ってからちょうど2ヶ月
冬の寒さはすっかりどこかに流れていって今じゃあもう桜の蕾がつきはじめている
あ、言い忘れてました
俺は山崎退です。
え?何で最終回なのにお前がナレーションやってんのかって?
それは俺にもよくわからないけど、きっと作者のただの気まぐれなんだと思う。
教室の窓から外を眺めながら色々振り返るが何だか出来事が多すぎて全部は思い出せない
だけど3年間ほとんど変わらないメンバーで過ごしてきたこの高校生活も今思えばそれなりに充実していたのかもしれない。
「ハイ席座れーお前ら」
相変わらず死んだ魚のような目をして、やる気は微塵も感じられないけれど今日の銀八はいつもより少し、ほんの少しだけ寂しそうに見えた
「まぁ、なんだ。…正直オメェら揃いも揃って問題児ばっかでバカみたいに色々やらかしたりなんかもしてたけどよ、今思えばそれこそZ組っつーかそれこそお前ららしいっつーかなんつうか…」
珍しく銀八の話を真面目に聞くみんなは泣きも笑いもせず、ただ目の前のちゃらんぽらんな教師を真っ直ぐに見つめていた
「ま、とにかくだ。…ありがとよお前ら」
銀八がそう微笑むとストーカー二人が泣き出す
「先生ェ!!なんだよそれっ先生らしくねーよグズッ」
「そうよッ!私はずっと先生と一緒にいるんだからッ」
銀八は溜息をついて頭を掻いた
「ばっかオメー普段はあれでもキメめるときゃキメるよ俺ァ…あとな、何があっても戻ってくんじゃねーぞお前ら。マジめんどくせーから」
そう吐き捨てるように言った銀八の言葉にだんだんとみんなの目は潤んできて
「あっ…」
気づけば俺の頬にも涙が伝っていた
「…
卒業おめでとうお前ら…」
そうして俺たちは今日、卒業を迎える