第20章 繋がる想い
「さて、みんな集まったことだし、行きましょっか!」
妙ちゃんはそう言って除夜の鐘を指差す
「オイ待てよ。まだ今年あと30分もあるんだぜ?鐘は後でもいいだろ」
銀八先生の言葉に妙ちゃんは少し考えると今度は屋台を指差した
「じゃあ鐘組と屋台組に分けましょう!」
(何でそうなったあああ!?)
ほぼ全員が同じことを思った
「じゃあ私除夜の鐘鳴らしたいアル!一度でいいからやってみたかったネ!!」
「じゃあ私も神楽ちゃんと同じにするわ」
「お妙さんんん!自分もお妙さんとともに鐘を鳴らしたいで…グハッ」
「てめェは一人でやってろゴリラ!」
「んじゃ俺は屋台回ってっかな」
「ちょうどいいところに土方くん!先生にわたあめを奢りなさい」
「何が"ちょうどいいところに"だ!!誰が奢るかよ」
「先生ぇ!私と愛の鐘を鳴らしに行きましょ!!」
「いや、俺はわたあめ食いたいから!!」
そんなことを言いながら屋台の方へ歩いていく彼らを呆れながら見ていると妙ちゃんに話しかけられた
「桜ちゃん、沖田くんと話せるチャンスよ」
『え?』
「最後だから、悔いのないように…頑張って」
妙ちゃん…
『うん!』
私が頷くと妙ちゃんはニコッと笑って神楽ちゃんたちと歩いて行った
残された私と沖田に一瞬微妙な空気が流れた
「…俺らもどっか行くか」
『そうだね…』
沖田の目にとまったのは甘酒のある列で、彼はそっちを指差しながら私に振り返る
「んじゃ、向こうの甘酒っ…」
『私、おみくじのとこ行きたいな』
だけど私の目に映っていたのはおみくじの列だった
「…相変わらず好きだねィ…ああいうの」
そう言って意地悪そうに笑う沖田
こんな時いつもなら彼は絶対に嫌がって私から離れていく
だけど今日の沖田は離れるどころか私の腕を引いてそのままおみくじの列まで歩き始めた
『えっ…沖田?』
「今日は特別でィ…おみくじ、やりてぇんだろ?」
『!!…うん』