第2章 修学旅行で嵐の予感!?
私の気分とは真逆に天気はどんどん酷くなって、終いには雷が鳴り出した
『うわ、ますます酷くなってきたね…』
空を見ながらそう言う私に「オイ、」と言って沖田は何かを私に向かって放り投げた
『え…傘?』
それはどっからどうみてもさっきまで沖田が差してた傘だ
「それ、使いなせェ…」
『え!?ダメだよ!沖田が濡れちゃうじゃん!』
「大丈夫でィ」
『でもッ!』
「いいから、俺家近ぇし。使え…あ、でも壊したら弁償な」
それだけ言うと沖田は鞄を頭の上にもっていき、小走りで帰って行った
私はというと、ただ顔を真っ赤にして沖田の傘を握り締めることしか出来なかった
『反則だ…』
そして傘を開き、私も歩き出した
ずるいなぁ…沖田。
突き放すくせに、さっきみたいに急に優しくするんだもん…
あんな風に言われたら誰だって好きになっちゃうよ。
赤信号で止まり沖田の名前がはいった傘を見てまた頬が緩んだ
でも…頑張ってみようかな…。
青信号に変わると同時に歩き出す…
その瞬間に鳴るクラクションの音、私の瞳に映る一台のトラック、タイヤの擦れるブレーキの音
キキィー…ンッ………
水溜まりに転がる…
彼の…傘。