第18章 クリスマスデート
それから数日したある日
朝起きて窓を開けると、辺りは一面真っ白だった
「初雪だってよ…あー寒い寒い」
そう言って人の家の押し入れを漁り勝手に炬燵を出す歩兄
久々の雪にまるで子供のようにテンションが上がった私は少し早めに家を出て学校に向かった
向かう途中にあるお店のほとんどがクリスマスの飾り付けの準備で賑わっていた
「あれ、桜ちゃん?」
名前を呼ばれて振り向くと何重にも上着を着て寒そうに立つ山崎くんがいた
『おはよう山崎くん、ていうか着すぎじゃないそれ…』
「そ、そうかな?まだ寒いんだけど…」
結構寒がりなんだな山崎くん…。
何気無い会話をしながら山崎くんと歩いていると、少し先に並んで歩く妙ちゃんと神楽ちゃんを見つけた
『妙ちゃん、神楽ちゃんおはよう!』
「あら、おはよう桜ちゃん。今日は早いわね」
『うん、何か雪でテンション上がっちゃって早く出てきちゃった』
「桜らしいアル」
そう言って笑う神楽ちゃんの手元に目を向けた
『神楽ちゃんその手袋…』
「さっきの店で買ったアル!姉御に選んでもらったネッ!めっさ可愛いダロ?」
うさぎさんのマークが入ったピンクの手袋は神楽ちゃんにとてもよく似合っていた
『うん!可愛い!!いいなぁ』
「もうすぐクリスマスだからお店も冬物を売り出してるのよ」
クリスマスかぁ…
今年は、みんなと過ごせるかな…?
『あ、そうだ!二人ともクリスマスは何か予定ある…?もし良かったら一緒にパーティーしようよ』
私の言葉に妙ちゃんたちは目を真ん丸にして言った
「…私は全然大丈夫だけど…」
「いいアルか?」
『え、何が…?』
私がそう言うと二人は顔を見合わせて言った
「桜ちゃんいつも、''沖田と過ごすー!''って言ってたから今年もそうなのかなって」
『…』
そうだった…。
去年も一昨年も
ー 沖田ぁ!!クリスマスパーティーしよう ー
ー やらねぇ ー
ー 沖田、クリスマスプレゼントあげる!ー
ー いらねぇ ー
ー 沖田!メリークリスマス!! -
ー…ハイハイ ー
どんなときでも私は、
沖田しか見てなかった。