第9章 勉強会
もう5時か…。
何となく窓の外を眺めていると妙ちゃんが話しかけてきた
「桜ちゃん、なんかごめんなさいね」
『え、なにが?』
「せっかく沖田くんと二人きりになれるチャンスだったのに…私たちまでお邪魔しちゃって…」
『そんな!誘ったの私だし、それに沖田と二人とか緊張で絶対無理だもん!』
私がそう言うと妙ちゃんはにっこりと笑った
「でも、桜ちゃんは沖田くんと一緒にいたいでしょ?」
へ?
「一緒にいたいわよね?」
満面の笑みの妙ちゃんの顔がなぜか黒い笑みに見えてきた
『えっと…まぁ』
そりゃあ、沖田とお家デートは夢だったけど…。
頷いた私を見て妙ちゃんはすくっと立ち上がって神楽ちゃんの方に行き何やらひそひそと話し始めた
『妙ちゃん?…』
「あら!もうこんな時間だわ、私そろそろ夕食の準備しなくちゃいけないから帰るわね。新ちゃん帰りましょ」
えっ!ちょ、妙ちゃん!?
「あー!私も銀ちゃんに用事あるんだったアル!帰るヨ」
神楽ちゃんまで!?
「妙ちゃん、僕も手伝っていいかな」
「お妙さん!自分も手伝います!いや手伝わせてください」
いつもならこのあと妙ちゃんが近藤君に蹴りをいれるところだけど今日はなぜだか妙ちゃんも「お願いします」なんて言って部屋を出ていく
「俺らもそろそろ帰るか」
「そうですね」
そう言って土方と山崎くんも部屋をあとにする
ええ!?みんな帰っちゃうの?
「んじゃあ、俺も…」
「ダメよ」
妙ちゃんが慌てて沖田を引き止めた
「沖田くんはもう少し残って桜ちゃんに勉強を教えてあげて」
「「はぁああ!?」」
妙ちゃんの言葉に二人して声を発して驚いた
『ちょ、妙ちゃん!なんでっ…』
「沖田くんと距離縮めたいんでしょ?あとは桜ちゃん次第よ」
そう私の耳元で言った妙ちゃんはニコッと笑った
「姐さん…何で俺だけなんですかィ」
「みんな用事があるのよ、沖田くんは何もないでしょ?」
「失礼ですねィ、俺にも用事が…」
「ないわよね?」
「…ありません」
黒い笑みを浮かべる妙ちゃんに沖田は言いかけた言葉を抑えた
「じゃあ二人ともまた学校でね」
バタンっと玄関ドアの閉まる音が部屋に響く
ど、どうしよう!!