第1章 目覚め
前世では、異能力者と呼ばれる者だった。
元猟犬であり、ポートマフィア首領の秘書、そして最終的に武装探偵社の一員となった僕は、それなりに楽しい人生を送っていた。
この特異な経歴から分かるように、僕は他の人とは少し違っていた。誰と云われると、唐変木こと太宰治寄り。
天才には変人が多いらしい。
国木田独歩もあの真面目すぎる性格は度を越していたし、江戸川乱歩は何と言ったって「僕がよければすべてよし」だし。
与謝野晶子は、その異能力故か知らぬが笑顔で人を切り刻む。
宮沢賢治に至っては、普通事務所に牛なんか連れてくるか?
中島敦も大概にしろ。生きているならいいじゃないとか言ってるお前が一番反省しろ本当に。
他にも大勢いるが此処は太宰治で締めよう。
彼は自殺嗜好家である。朝から晩まで365日如何に楽に死ねるか研究しようとしている阿呆の極み。ポートマフィアからの付き合いだが彼奴だけは、行動が全く読めん。何なんだ彼奴。虹色のゾウリムシとかなんだとか言って。