第2章 呪術師
私の答えを聞いた五条先生は、青い瞳を大きく見開いた。
次の瞬間にはその瞳はキラキラと揺らいでいて。
「そうなって欲しくて教えてきたんだ。でもそれが寧々を縛ってはいない?」
「私…には無理かもしれないですけど、五条先生のような立派な呪術師になりたいとは思ってます」
「そう?僕はまだ寧々を諦めてないけど。こんな僕でも立派だと言ってくれる?」
「そ、その話はまだ…!」
今は保留でもいいよ、と五条先生は笑った。
「寧々はきっと良い呪術師になる。最強の僕の教え子だからね」
「な、なれるでしょうか…」
最強呪術師のお墨付きとはいえ、3級の私には不安ばかり。
「なれるよ。あ、そうだ。おまじないでもしようか」
「えっ?」
五条先生の大きな手が、私の髪の毛をわしゃわしゃと撫でた。
「そ、そんな犬みたいな…っ!」
「僕の呪力をお裾分けしてあげる。ついでに僕のことを好きになってよ」
「つ、ついで…っ」
とんでもない事をついでと言い退けた五条先生。
呪術師として活動しながら、五条先生に何度も迫られて…根負けするのに時間が掛かるわけ…はなかった。