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TNTになった俺と傷つかない少女

第4章 TNTになった俺と傷つかない少女4


「あのな、ミウ……」
「なぁに?」
「急に抱きつくのはやめてくれ……」
「え、だめなの?」
「俺が怪我する」
「怪我?」
「そう、痛いってこと」
「痛いってどんな感じなの?」
「あ〜〜……」
 そこから説明しなきゃならないってことか。それは面倒だ。無痛症みたいなやつなんだよな?
「そうだな……」俺は考え、ミウが飛びつかない方法を提案した。「肩車してやる。それでいいか?」
「うん! あれ楽しい!」
 ということで、俺はミウを肩車することとなった。
 俺はミウを肩車しながら、辺りを探索してみた。周りはカプセル部屋から見ていた通り、本物の森の中だ。空も木々の隙間から青いものがちらつくが、ほとんどが薄暗くて昼間のようには見えない。
 とりあえず真っ直ぐ歩いてみるかと、俺は森の中を彷徨いながらミウについて考えた。見たところ六歳くらいの女の子だ。俺の肩車で喜んでいるくらいなのだから、両親とはそういう触れ合いをする前に離れ離れとなったのだろうか。
 しばらく歩いていると、向こうがだんだん明るくなっていることに気がついた。ここがどこなのかよく分からないが、とりあえずそこへ向かおう。
「おい、ミウ……?」
 ミウが静かになったので、声を掛けてみる。応答がないどころか、ミウの体が少し重くなった気がした。俺はミウを下ろした。
「ん……メン……?」
 眠そうに瞼をこするミウ。どうやら俺の頭の上で寝ていたらしい。
「とりあえず、ここで昼寝するか」
「ん……」
 返事ともとれぬミウの声を聞き、俺はそこらへんの大きな草をちぎってそれを寝床にした。ミウはすぐに眠りについた。もう一枚大きな草をちぎってかけると、俺も一息つくことにした。
 それにしても、ここはどこなのか。適当に歩いていた中でちらほらと見かけたのは、建物の瓦礫のようなものだ。
 俺は瓦礫を漁って使えそうなものがないか探したが、ゴミだらけだった。寒くはなさそうだが、ここがもし夜になるんだとしたら、火は点けたいと思っていたのだが。
 一人の子どもをここに置いておくのはさすがに忍びなくて俺は何を考えるともなくそこら辺の草や葉っぱをちぎって弄んだ。そうしてミウの周辺をウロウロしていただけの俺の足元に、偶然にも書類のようなものを見つけたのだ。
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