第1章 突然の呼び出し
調査兵団の食堂での仕事を終え、
アンは薄暗い廊下を一人歩いていた。
廊下の薄暗さと比例して、
アンの心も明るさとは程遠い。
理由はたった一つ。
「何で私が分隊長に
呼び出されなきゃなんないの……?」
アンはミケ・ザカリアス分隊長に呼ばれ
ミケの部屋に向かっている最中、ということだ。
調査兵団の食堂で働いているからと言って、
兵士たちと仲が良い訳では決してない。
同時に、
仲良くしたいとも思っていない。
いつ死ぬかも分からない兵士と
仲良くしたところで、
自分に残るものは何もない。
そう考えるのは
自分だけではないはずだ。
なのに。
それなのに………