第3章 たくさんの初めて
五条side
先ほどの詫びを含めて
散歩に誘った。
夜の散歩なんてロマンティックでしょ。
さっきは攻めすぎたけど、
初めてだって恥じらう姿は
ちょっとクるものがあった。
よく我慢できた、俺!
部屋を出て長い廊下を歩いている時に急に意識をなくした風海。受け止めてお姫様抱っこで抱えながら、使用人に指示を出す。
先ほどの部屋まで戻り、布団を敷いてもらう。
流石にこんな状態のコイツと同じ布団に入るわけにいかないと思い、寝かせようとすると
『やめて…行かないで…』
『痛い…やめて…』
と、あまりいい夢とは思えないような寝言を言っている。
「悟様、傍についていることで風海様も安心なさるかもしれませんよ?」
と声をかけられることで
念の為、一応、
隣に布団をもう一枚敷いてもらう。
俺は必要ねぇと思うけど。
とりあえず片方の布団に寝かせて、俺もその隣に片肘をついて頭を乗せ、寝転がる。
苦しそうに表情を歪めたり、息苦しいのか胸元を抑えたりしている。
そんな表情も美しいと思ってしまうのは
重症だし、我ながら気持ち悪ぃなと思う。
『…こないで!!』
と言いながら目を覚ました風海。
相当夢見悪ぃだろうな。
悟「…大丈夫か?」
ちょっと声が掠れてしまった。
『はい、急に倒れてすみませんでした。
…でもまだだめかも…』
だろうな。寝汗もすげぇだろ。
急に起きたらまた倒れるだろうな。
悟「おまえさ、ずっとうなされてて。変な夢でも見てた?」
まぁ、あんなにうなされてたんだから楽しい夢じゃねぇのくらいはわかるけど。それを取り除いてやりたいと思うのは、それを見ていたからか?コイツを大切に思っているからかわからないが。
『はい…あれ?でもなんだっけ?』
黙っているっていう判断ではなく、本当に覚えてなさそうだな。でもまだ動揺してる。この状況をおかしいと思えない程度には。
そしたらそれを利用するだけだ。
悟「…こっちこいよ」
片腕で引き寄せて抱きしめる。
嫌がることなく俺の胸の中に収まり、顔を擦り付ける風海。
頭を撫でていると、また寝息を立て始めた。
今度は落ち着いている。
傑には連絡したのか?
俺には不在着信が山ほど。
相当焦ってるんだろうな、アイツ。
余裕がなくなるところを見てやるよ。