第3章 たくさんの初めて
そして任務という名の勝負が始まった。私はというと、灰原くんと傑さんの間に挟まってドキドキきょろきょろしている。
低級の呪いは、それこそうじゃうじゃいて気持ちが悪いけど、何もしてこない。それは私も祓っていく。
あまり人魚の能力は使わないようにするが、呪具を使って祓うことはできるので、高専から借りている薙刀のようなものを持ってきた。自分の呪力を呪具に一定に乗せていく。いつ呪霊が出てきてもいいように。
傑「…やっぱり風海の呪力に押し負けて、2級も出てこれないのか…」
傑さん曰く、自分より強い呪力を察知すると、出てこなかったりするらしい。高専に来る前もあまり近づいてくるものはいなかった。
…なるほど。
なんて納得している時に、何か聞こえた。
虫が這うようなガサガサした音
『何か聞こえませんか?』
灰「…いや、聞こえない。どっちから?」
こんなにハッキリ聞こえてるのに…
『こっち!ここの部屋』
そう言ってドアを開けると、何もいない。
あれ?でもハッキリこの部屋から聞こえたし、今も気配が消えてない。どこかにいると思う。
『この部屋、絶対何かいます。』
呪霊の足跡が見えるようなそんな感覚。
足を踏み入れると嫌な気配がより伝わってくる。
天井が光ったかと思い見上げると、大きな虫のような形の呪霊がいた。
ひぃぃぃ!気持ち悪い!!
声も出せないくらい気持ち悪くて、鳥肌が立つ。
『上!』
私の声を合図に呪霊が姿を現し、気持ちの悪い巨体をくねくねしている。
傑「灰原!」
灰「はいっ!」
灰原くんが駆け出し、あっという間に祓った。
…よかった…
それにしても気持ちが悪かった…
やっぱり呪霊は気持ち悪い。
任務に出ていれば慣れるんだろうか。
『灰原くん、お疲れ様!すごかったね!』
近づいて灰原くんを見上げると、嬉しそうに笑っている。
灰「ありがとう!うまくできてよかったよ!
夏油さん!どうでしたか?!」
やっぱり傑さんに褒めてもらえると嬉しいよね!わかる〜
傑「うん、無駄のない動きでよかったと思うよ。ただ…風海、なぜ呪霊のいる場所がわかったんだい?」