第12章 2月
夏油side
昼休みに1年の教室へ行こうとすると、女性の補助監督がきてプレゼントをくれた。無碍にするのも悪いが、受け取ると風海が傷つくだろう。どうやって断ろうか考えていると
悟「いらねぇよ、こんなもん。俺は風海以外いらねぇって言ってんだよ」
あぁ…そんなに風海の名前を出して…被害が及んだらどうするつもりなんだ。
とにかく私たちは1年の教室に早く向かいたいのに、引っ切り無しにやってくる女性に立ち塞がれて向かえずにいる。悟はもうキレる寸前だ。どうにかしないと…
傑「すみません。ちょっと用があるので、また放課後に…」
と、放課後にいる保証もないのに引き取ってもらった。ため息をひとつついて、1年の教室に向かう。普通に歩いているつもりだった。けど実際には小走り。
教室に着くとすぐに灰原が気がついてくれた。
が、見つけて欲しかった愛しい人はいない。
灰「あっ!夏油さん!と五条さん。」
悟「俺はおまけかよ!?で、風海は?」
見渡してもいない。隠れる場所もない。
七「入れ違いですか?今ほど、2年生の教室に向かいましたよ?」
悟と目を見合わせて、今度はダッシュで自分たちの教室にもどる。未だかつて、こんなに甘いものに執着したことはない。チョコレートというよりは彼女に執着しているのだが…
珍しく息を切らして教室のドアを開けると、誰もいない。
なんで…
呆然とバカみたいに突っ立っていると、硝子が帰ってきた。
硝「風海に会えた?」
悟「我々は彼女に避けられているのだろうか?」
ついに悟のキャラが崩壊し始めた。
硝「は?何言ってんの?キモい」
もう余裕なんてない。今は風海に飢えている。
こんなことを聞けば、ストーカーかよと言われるのはわかっている。けど、聞かずにはいられなかった。
傑「風海はここに来たのかい?硝子は会った?」
硝「会ったから何?お前らが出ていってすぐに来たよ。伝言預かってるのに、聞かなくていいのか?」
傑悟「…!!」
“放課後、部屋に来てね〜!”
あぁ…よかった…忘れていたわけじゃなかった。
悟と目が合うと、なぜか気持ちが込み上げてきて、2人でがっしりと抱き合った。
硝「ストーカーどもめ…」
午後の授業は、午前と違って集中して受けることができた。