第4章 変化
悟さんを送り出してから気がついた。
ケータイも下着も服も、何にもない。
こんな格好じゃ部屋にも戻れないし…
…どうしよう…
動けないにしても服は着たいのに。
もし急に地震があったらこのまま逃げなきゃいけなくなっちゃう!
椅子にかかっている、先ほどまで悟さんが着てたであろうTシャツを見つけたので、それを借りることにした。
着てみると悟さんの香りがして抱きしめられてるような気持ちになった。シーツもそうだけど、悟さんの香りは安心する。昔から知っているような…そんな感じ。
悟さんと傑さん、ケンカにならないといいな。硝子さんから、建物を壊すくらいのケンカをしたことがあるって言ってた。
傑さんに会いたくないけど、会いたいな。会ったら絶対に怒られちゃうけど…私、本当にずるいな。2人の優しさに甘えてる。
絶対にこれじゃダメだ。
私のせいで2人の関係が崩れてしまうのは、絶対に嫌だ。離れたらそうじゃなくなる?あの2人には親友でいてほしい。
親友がいるってすごく羨ましい。
絶対に大切にした方がいい。私なんかが壊してしまうのは辛い。
同じ学校だし、顔を合わせないのは無理だけど、なるべく先輩たちと一緒じゃなく、1年生で行動するようにしよう。
きっとそのうち呆れられて私に見向きもしなくなる。でも、家族を守ってくれる五条家の方や高専のみんなに後ろめたい。どうしよう…