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真珠の涙

第3章 たくさんの初めて


夏油side

あの日からよそよそしかったり様子のおかしな風海が気になっていた。いつもなら近くにいると感じる視線も、避けているように感じている。

私が何かしたのだろうか?

確かにあの日、私が好きだと言ってくれた。それでこちらも我慢が出来なくなったのだから。幸せだと思っていたのは私だけだったのか?そうは思いたくない。ならば、本人に確認する他ない。

探していたが、なかなか見つからない。連絡もつかない。
少々イラついていた時に灰原に会い、探すのを手伝ってくれた。高専内といえど、行方不明は困る。何かあってからでは遅い。

悟に電話をしても出ないということは、あの2人は一緒にいるのだろうということがわかる。安全な場所にいることがわかってホッとしているのも事実。反対に言いようのないくらいの怒りも込み上げてくる。


朝になってから悟の部屋は行くと、微かに香る彼女の匂い。
余裕でドアを開けるこの男にも腹が立つ。私など眼中にないということか?

悟「すぐ行くから先に行ってろよ」
傑「そう言って二度寝するのがオチだろ?毎回そうだから起こしに来たのに。」

本当は違う。
邪魔してやろうと思った。彼女は私のものだといいたかった。


だが出来なかった。


シーツの中で小さくなり、震えている君に気がついてしまったから。




悟「ありがとうハニー♡着替えてすぐ行く。」

ふざけた返事についカッとなり、嫌味で返した。

傑「…あぁ。あと弱みに取り入るのは感心しないな、悟。彼女を大切に思うなら、手を引け。いくら姿を隠しても君の香りはすぐにわかるよ、風海。じゃあまた後で。」



パタン

こんなハズじゃなかった。私が彼女を守りたい。だけど、私を見て怯えている彼女をここ数週間で何度か目にしている。
反対に悟に対しては敬語を忘れて話すくらい距離が縮まってきていた。

焦らないはずがない。

私は君に何をしてしまったんだろう?
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