第21章 料理を二度と作らないと決めた日(ノア・愛空・玲王)【後編】
御影玲王
「デリバリーは頼まない…」
小さな声でそう呟いた玲王の目からは涙がボロボロ溢れていて驚いてしまった。普段あまり泣かない彼が泣いてる姿に戸惑っていれば玲王は小さな声でぽつりぽつりと話だした。
「今日、プレーが上手く行かなくてイラついてて…八つ当たりしたくねぇのに。🌸に八つ当たりして…思ってもねぇ事言って…」
ボロボロと零れる涙と言葉に私は小さく笑みを零すと玲王の目元を拭ってあげれば、少しだけ驚いた表情を浮かべていた。
『私、てっきり本気で玲王があんな事思ってると思ってた。下手な料理を無理に食べさせちゃってたからと思って…』
「無理に食べてなんかねぇよ…。本気で🌸の料理が好きなんだ。実家の料理なんかよりも高級な食べ物よりも美味い」
『それは言い過ぎだよ〜』
「本当だ」
キッパリと言われてしまい私苦笑いしてしまった。でもそう言ってもらえたのは凄く嬉しくてたまらない。本当に私の料理が好きと思ってくれているなんて。
「🌸が、大丈夫ならご飯食いたい。🌸が作ってくれるのを」
『いいよ』
「八つ当たりしてごめんな」
『次八つ当たりする時は、アレは言わないでね?他なら大丈夫』
そう言うと玲王は驚いた顔しながらも笑った。
「お前に八つ当たりなんかもうしねぇよ。大事な彼女に」