第30章 子供は私だけで育てると決めた日(凪・凛・カイザー)【中編】
凪誠士郎
涙を拭いながら歩き出せばスマホが何回も何回も鳴り、画面を見れば誠士郎からの着信やLINEやメールが来ていたが全部無視した。もう知らない、話すことがあるならばこの子の認知の事ぐらいだ。なんて思いながら住宅街の道路を歩いていれば後ろからクラクションの音がして、見覚えのあるリムジンが止まっていた。
「よ、🌸。ちょっといいか?」
そう言って車から出てきたのは高校時代からの親友である玲王。そして私は玲王に連れられてリムジンに乗った。
「話は凪から聞いた。妊娠してるんだってな」
『そうだよ。なに…?誠士郎に言われて連れ戻しに来たの?』
「いーや?ただ話をしたくて」
そう言いながら玲王は私にミネラルウォーターのペットボトルを渡した。
「このまま本当に凪と別れて、赤ちゃん自分一人で育てる気なのか?。シングルマザーは大変だって聞くけど」
『うん、1人で育てる』
「そっか。まぁ🌸がそう言うなら俺は全力でサポートする。でもさ…もう1回凪と話してみたらどうだ?」
そう言うと玲王は車の扉を開き、外から誠士郎が飛び込んできた。泣きそうな苦しそうな顔をしながら私のことを見てきたと思えばその目からポロッと涙が零れていた。