第29章 子供は私だけで育てると決めた日(潔・千切・玲王)【中編】
潔世一
「ありゃ…」と苦笑を浮かべながら生クリーム増し増しのラテを飲むのはよっちゃんの親友である蜂楽くん。あの後泣きながら歩いていれば彼と鉢合わせして、理由を聞かれる為にカフェに入って今に至る。
「なるほどね。だから潔、🌸ちゃんを探してる訳だ。着拒否してる?電話繋がらないって…」
『もう別れたし良いかなって。今はあの人の声聞きたくないから』
「そっかぁ…。でも本当に、1人で赤ちゃん育てるの?」
と蜂楽くんは心配そうに尋ねてくるので小さく頷いた。もう1人で育てると決めたが、恐らく両親は頼ってしまうだろう。なんて思っていれば蜂楽くんは眉を下げながら
「🌸ちゃん、潔を許してあげてくれないかな?確かに、直ぐに別れるって言うのは悪いし潔がダメ。でもね、潔何時もね🌸ちゃんと喧嘩した時に『別れる』って言ったら反省して後悔しちゃってる」
その言葉に私は少しだけ顔を俯かせる。確かによっちゃんは別れると言った翌日は申し訳なさそうに泣きそうな顔をしながら謝ってきていた。
「ほら、潔さカッとなると言葉悪くなるし色々言っちゃうじゃん?本人も直そうとしてるみたいだけどねぇ」
『そうですか…』
「…うん。だからさ、もう1回だけ潔にチャンスあげて?2人でよく話してみてごらん?2人のこれからを」
そう言いながら蜂楽くんは私の背後を見て笑うので、もしかしてと振り返れば息を切らして汗だくなよっちゃんが立っていた。