第27章 子供は私だけで育てると決めた日(潔・千切・玲王)【前編】
潔世一
「は?に、認知って…?」
よっちゃんは目を見開かせながらそう聞いてくるので、昨日病院に行った際に撮ったエコー写真を机に置いた。まだ小さな小さな私のお腹の中に居る命の写真。
『書類上に父親が居ないのは悲しいだろうから、認知だけはしてください。養育費は要らないから、ただ認知だけはしてね』
そう言うとよっちゃんは驚いて固まっていて、丁度いいと思い寝室に向かうとキャリーケースにある程度の荷物を詰め込んでから玄関へと向かう最中によっちゃんを見た。婚約して数日だが私の嫌いな言葉をまた言うよっちゃんにはもう耐えきれない。
『あとの荷物は捨てていいよ。じゃあさようなら』
「ま、待ってくれ🌸!」
『待たない。喧嘩した勢いだとしても別れるって言うなら、多分結婚しても直ぐに離婚するとか言いそうだし』
それだけを伝えて家を出て行った。外はまだ少し寒くてお腹を庇うように撫でて
『ごめんね、ママだけだけど…いっぱい愛情注ぐからね』
そう呟けば涙が零れ落ちた。