第5章 自慢
今日はドズル社メンバー四人がスタジオに集まって、某最新ゲームを一緒に遊ぶ企画の撮影だ。そして今日はMENが別の撮影で休みなので、俺とおらふくんとドズぼんの撮影ということになったのはついさっきのこと。
某最新ゲームはスゴロク形式のゲームで、ターンごとにミニゲームをしたり、様々な方法でコインを集めたり、そのコインでスターを多く集めた人が優勝ということになるのだが……俺はミニゲームでの勝率は高いものの、とことん運ゲーに負け続け、優勝は程遠いものとなっていた。
「おんりー、ミニゲームはほとんど勝ってるのに……」
とドズルさんが横で言うと、その奥のぼんさんが勝ち誇ったようにニヤリと笑った。
「おやおやおんりー、このままだと最下位だねぇ?」
ゲーム上でもリアルでも、ほとんど裏表のないドズル社メンバーがとても好きだ。好きだけど、このバトルの世界ではその煽りは俺でも許さなかった。
隣の恋人をチラリと見る。どうしたん、おんりー? と二人きりの時ならそう言うおらふくんも、ドズル社にいる時は何も言ってこない。まだ俺たちの関係は、三人には秘密なのもあるけど。
俺はゲーム画面に視線を戻し長考する。スゴロクのターンはそろそろ終わりを告げようとしていた。近くのマスにはおらふくん。しかもおらふくんの止まっているマスは「逆転マス」。
……俺の出来る手段は少ない。
俺は、手持ちにあったぴったりスゴロクを振った。
目指すはもちろん、おらふくんのマス。
恋人だろうが、ゲーム中では容赦しない。
このゲームは残りのターンが少なくなると、フレンドと同じマスに止まったら「決闘」というものが起こる。
「決闘」で、せめてもの悪足掻きをするのだ。