第5章 リアル無人島サバイバル「ぼんおら」5
「ぼんさ〜ん!」
ぼんさんが来た道を引き返し始めた時、おらふくんが走って戻ってきた。整備されてもいない草木の中を、よく身軽に走れるものだ。
「あ、おらふくん」
ぼんさんは走っていないというのにすでに疲れた様子だ。
「さっき、おんりーがいたんですよ!」興奮気味におらふくんが話し続ける。「おんりーみたいに早い馬!」
「ああ、馬ね」
おらふくんの話を最後までよく聞くぼんさんは、早とちりせずにそう納得した。やはり、さっきの白い何かは、馬だったらしい。それでおらふくんはおんりーと名前を口にしたのか。
「それに、おんりー馬がすごいんですよ!」おらふくんのネームセンスに笑いそうになりながら、おんりーは次の言葉を待った。「おいでって呼ぶと来てくれるんです!」
「え?」
ぼんさんはきょとんとした顔になった。そんな表情をよく見ないまま、おらふくんがあらぬ方向を向いて「おいで」と何かに呼びかけた。
すると茂みの方から、ドスドスと足音が聞こえ、あっという間に白馬がその姿を現したのだ。
「おお」
とぼんさんは感嘆な声を漏らす。おらふくんはまだまだ楽しそうにこう話した。
「背中に乗ったらどこかに連れて行ってくれますよ!」
「そんなまさか」
ゲームじゃないんだから、とぼんさんは言ったが、おらふくんは冗談のつもりではなさそうだ。馬に対しても丁寧に話しかけ始めたおらふくんは、大人しくなったのをきっかけに、勢いよく地面を蹴ってその白馬の背中に乗ろうとしたのだ。
さすがの馬も驚き、前足を蹴り上げて走り出した。そんな中おらふくんは振り落とされまいと馬にしがみつき、大丈夫大丈夫と何度も言い聞かせている内に、白馬はだんだん落ち着きを取り戻してきた。