第48章 脆弱
「怖い目に遭ったんだから、厚意に甘えて明日は休め。
いいな?」
『…はい、じゃあ…そうします…。』
「いい子だ。」
素直に休む事を決めた私に
赤井さんはまた私の額にキスを落としていて…
さりげなくキスをされたせいで
私の心臓は分かりやすくドキドキと音を立てている。
私と話す赤井さんの声、頭を撫でる手つき、
そして額へのキス…
赤井さんの全てがとても優しくて
目の奥がツンとなり、再び涙が流れ出てきた。
「!!どうした美緒、やはりどこか痛むのか?」
『っ、違う、んです……
赤井さんがすごく…優しい、から……
もう…あなたに嫌われたかもって…思ってて…
それ、で…』
ポタポタと涙を垂らしながら言葉にして伝えると
私の体は再び赤井さんによって抱き締められていた。
「俺は…お前の事が好きでたまらない…
それはこれから先もずっと変わらない俺の気持ちだ。」
『うぅ…ふぇ……あかい、さ…』
「頼むから悲しそうに泣かないでくれ…
どうすればいいのか分からなくなる。」
赤井さんの声から本当に困っているのが伝わって来て
少しの間涙が止まらなかったけど
今日はもうたくさん泣いたから、なんとかすぐに止める事が出来た。
それに…
これ以上赤井さんを困らせたくなかったから……
『ごめんなさい…
私……迷惑ばっかりかけて…』
「馬鹿…お前は何も悪くないんだから謝るな。
それより早く風呂に入って来い、お湯が冷めるぞ。」
赤井さんに見送られてお風呂場に向かい
しっかり体を温めてから浴室を出た。
脱衣所に置いてある棚から自分の着替えを出して身に纏い
リビングに戻ると、赤井さんもシャワーを浴びたのか
寝巻き姿に変わっていた。
「お前、飯は食べたのか?」
『あ……忘れてました…』
時刻はいつの間にか夜10時。
何も食べていない事を思い出したら
意識したせいか空腹感が強くなってきてしまった。