第6章 正体
『こんにちは、灰原さん。』
「…来てくれて……ありがとう。」
阿笠さんの自宅に着くと灰原さんが迎えてくれて
家の中に足を踏み入ると、朝に別れたばかりの蘭ちゃんと毛利探偵がTVゲームをしていた。
「あれ?先生も博士に呼ばれたんですか?」
『ううん。私は灰原さんに呼ばれたの。
宿題を教えて欲しいって言われてね?』
近くのテーブルに案内してもらって
算数の宿題のノートを開き灰原さんに聞かれたところを教えていると、ふとある事に気付いた。
『そういえば江戸川くんは?
阿笠さんと一緒だったんじゃないんですか?』
「あ、ああ。先に帰ったよ。」
博士の言葉を聞いた蘭ちゃんは
コナン君がお腹を空かせていたら可哀想だから帰ろうと立ち上がったところを灰原さんが必死の形相で止めていた。
「江戸川くんなら大丈夫だから…心配ないから…
だから行かないで!お願い!!」
『…。灰原さん……?』
「えっ、あ…ごめんなさい…。」
ここまで取り乱す彼女を見たのは初めてで驚いていると
蘭ちゃんは彼女を安心させる為にここに残ると言っていた。
そして再び宿題に取り掛かった灰原さんだけど
それはすぐに終わり、私達のためにお茶を入れてくると言って博士と共に私たちから離れた。
私は蘭ちゃんと毛利探偵の元に行き
2人がゲームをしている様子を眺めながら
江戸川くんに睨まれる理由を考えていた。
…私が言ったあの台詞……
昔、アメリカでホームステイをしていた時に
有名なハリウッド女優が言っていたのを使わせてもらった言葉なのに……
その言葉と、江戸川くんや赤井さんが追っている組織は何か関係があるのかな…。
とにかく、江戸川くんには私は悪い人間じゃないと分かってもらいたい…。