第58章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-捌-
「ふう…一旦休憩やな。腹も減ったし」
離れた直哉くんは調理スペースで手を洗い、わたしには何も聞かずに一人で食べ始める。
…やっぱり愛情なんてないんじゃ。
そう思いながら欲しがるような目を向けていると…
「お腹減ってないん?」
「減ってましゅ…けどっ…、ふう…♡…まだ…体が…あちゅくて…」
「喋りもままならんな。可愛い♡ほら、おにぎりお食べ。食べ終わったらまた気持ちよくしたるわ」
直哉くんは自分が食べ終わるとおにぎりを持ってきて、それを地面に置いてわたしの髪をそっと掴む。
「…?」
「髪押さえててやるから口だけで食べるんや。何でもするんやろ?」
ニコッと爽やかに笑われて断りにくくなった。
直哉くんの機嫌を損ねないように従順なフリをし、動物みたいに口だけ使って胃袋におさめる。
「水も飲む?」
「ほしいれす…」
「そういう時は猫の鳴き声するんやで。もう一回」
「にゃん…っ♡」
「ええ子♡めっちゃ可愛い」
開いたお皿にお水を注がれ、そこにさらに媚薬の液体が追加される。