第8章 夏と恋とひんやり甘味
ドサっと敵の主が倒れて続逸さんは刀を腰にしまった。
「今行くぞ!」
続逸さんが扉を開けて私の手首の縄を解いてくれてた。
「助かった・・・・。」
手首の縄が解けた瞬間、私は安堵したのか続逸さんにもたれかかるように倒れ込んだ。
「大丈夫だったか?すまねぇな。早く気づいてやればよかったんだが。」
「助けてくださり、ありがとうございます。」
「歩けるか?」
「はい。」
私は続逸さんの肩を借りて歩いてお店まで戻った。
お店に戻るとお客さんで活気付いていた。
「皆さん、ご心配をおかけしました。誠にすみませんでした。明日からもっとお店の仕事を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。」
私が頭を下げてそう言うと拍手が湧き起こった。
「心配したんよー。」
お手伝いの女子達がすっ飛んで私に抱きついてきた。
「お店の方、任せっぱなしでごめんね。今からでもやらせて!」
私は続逸さんに再度、お礼を言って仕事に励んだ。
夕方に吾郎さんと綾さんがお店に立ち寄ってくれて申し訳なかったと謝りに来てくれたけど二人のせいじゃないですからと私もにこやかに対応した。
せっかく来てもらったので綾さんには別の妊婦さん向け献立でおもてなしした。
⚫︎山芋と米粉のお好み焼き風
⚫︎まぐろとマヨネーズ和えのおむすび
⚫︎具沢山味噌汁
⚫︎季節の果物
「こんな有り合わせのものでよければどうぞ!」
「ううん。有り合わせなんてとんでもないわ。凄くよくできてるし美味しそうね。」
綾さんが驚いてそう言ってくれた。
「穂乃果さんが作る料理はうまそうだなー。あっ、綾の作る料理もうまいぜ。」
吾郎さんがそう言うと横にいた綾さんが笑った。
「別に気を使わなくてもいいんですよ。さて、食べましょうか。」
「今日は有り合わせのもので作ったので無料です。それにあの時、相談に乗ってもらったので相談料ってことでいいでしょうか?」
私の提案に二人は最初は断ってお金を出そうとしていたが了承してくれた。
私はこの一件で続逸さんの良さがわかった気がした。
付き合ってみてもいいかもなと思い、手紙で返事を書くことにした。