第5章 だし巻き卵は母の味
それから町を散策しながら色んな女性の髪型を見て研究することにした。綾さんに教えてもらった髪型はマスターできたけど、これ以上に綾さんに迷惑はかけられないと思ったから。
「どれも似たような髪型だなぁ。」
それならお手伝いの女子達に聞いてもいいんじゃないかと思い、髪結の仕方を教わった。
「よしできた!」
新しい髪型もいい感じに決まってるね。江戸に来てから毎日が忙しいけどそれなりに楽しい。
自分のお店を開店することができたなんて夢のようだ。もっと江戸のみんなにお米の良さを伝えたいというテーマは永遠に変わらなそうだ、とそんなことを思いながら今日も料理に励んだ。流石に暑い中の揚げ物は堪えるけどそれはそれでよき。
これから夏本番に向けてメニューも決まった。アジのなめろうとオクラと茗荷の冷や汁にしようと思っている。いつもの温かいお味噌汁もいいけど夏はやっぱり清涼感を出したいと思ったからだ。
勿論、通常のお味噌汁も提供しているのでそちらがいい人はいつものお味噌汁を頼めばいいんだけどね。
お米は源平さんが送ってくださるし、なんならたまに買ってきた野菜を届けてくれたこともあり、感謝している。うちの息子がずいぶん世話になったとか言ってたけどお世話になったのは私の方なんですけど。まぁいいか。
幸いなこと生姜を手に入れることができた。今の時代みたいにチューブタイプのはないけど、自分ですりおろした方が香りが立っていいと思った。この時代にはおろし金のような金属製のものではなく木製のおろすものしかなかったけど、それはそれで味わい深いと思った。また生姜を刻んだりしてもいいと思う。
さぁ、夏に向けていざ本番!