第2章 削り節おむすび(おかか味)
「あとは塩昆布を使ったおむすびも人気です。塩昆布とは海藻を塩で漬けたものなんですけどしょっぱい感じがとても美味しいんですよ。あとは変わり種なんかも色々あります。説明が難しいんですけど江戸の食材で代用してなるべく近づけたいなって思ってます。お二人には美味しいかどうか、江戸の皆さんに人気になるかどうか試食して審査して頂きたいんです。まずは塩むすびと鰹節のおむすびを作ってみたので食べてみてください。」
私は二人に試作品のおむすびを差し出した。
「いただきます。」
二人は一口食べたあと笑顔が溢れて"おいしい"と言ってくれた。
「穂乃果さんのおむすびうまいねー!」
「本当に美味しいわ。」
二人は口々にそう言ってくれた。
「ありがとうございます。実は私のいた時代で調理師免許って言ってお料理の試験に合格して資格を取っていたんです。」
私がそう言うと二人はうまくやれるよと言ってくれた。
そこからメニューを決めるべく試作品を作るために試行錯誤の日々が続いた。
鰹節のおむすびと塩むすびは二人に高評価だったので看板メニューにすることにした。
あとは塩昆布のおむすびと変わり種だ。
吾郎さん達の話によるとマグロは寿司屋でしか味わったことないらしくそれも滅多に食べられないため貴重な食材だということだった。それに加えマグロの加工品は聞いたことないらしい。
そりゃツナって言われてもわからないよね。まずは新鮮なマグロを仕入れるとしてそこからどうやってツナ缶の味に近づけるかが問題だ。
マヨネーズ作りは試行錯誤してできあがり、いつも食べなれている味に近づけることができた。吾郎さんと綾さんにマヨネーズを試食してもらった。
驚きつつもまろやかでいい味だねと言ってくれた。
「私の時代ではマヨネーズは欠かせない調味料としてどの家庭にも定着しています。新鮮な生野菜の上にかけたり、マヨネーズで野菜を焼いたり、色々万能なんです。これだけでもしっかり味が決まるんですよ。」
あっ、それならケチャップも作ってイタリアン風のおむすびもありかもーなんてアイディアが湧いてきた。
トマトが手に入ればケチャップまでとはいかなくてもトマトペーストくらいは作れるかもしれないと思ったのだ。
試作の時点でとても楽しく歯ブラシ職人を続けて小判を稼ぎ、その小判を試作品に注ぎ込んでいった。