第9章 秋とラザニアの彩りと
この日は初めてのお料理教室を開くことになった。初回だから何を教えようかすごく迷った。確かに教えることでお店の味が盗まれるんじゃないかと言う人もいるかもしれない。でも私の時代の味が庶民に広まることがすごく嬉しいと思った。
「みなさん、こんにちは!今日は第一回目のお料理教室です。抽選で当たった皆さんおめでとうございます。また時間のある時に定期的にお料理教室をやろうと思うのでぜひ抽選で当たったらまた参加してくださいね。今日、教えるのはしーちきんまよおむすび、具沢山汁、ぬか漬けの三品です。具沢山汁は余ったら翌日の朝に温めて飲むとより深い味わいで美味しいですよ。またおむすびの中のしーちきんはしっかり作れば二,三日は持つと思いますのでぜひ作ってみてください。まず、皆さんに台所で手を洗って頂きます。それが済んだら、割烹着を着てください。」
この時代は男の人は仕事、女の人は家事育児なはずなのにうちのお店の料理が珍しいのか男性も三人ほど参加していた。
「まずはお米を研いで炊いていきましょう。お米の炊き方は知ってる人もいるかと思いますが、冷水で洗い流しましたらしばはく浸水させておきます。お米を水につけておくことでより、ふっくらして美味しいご飯に仕上がりますよ。浸水してる間に汁の具材を切っていきましょう。野菜は全部、オケに入れて水で洗い流します。野菜はさっとで大丈夫ですよ。」
私の説明に沿って皆さんはテキパキと動いてくださる。
「献立の作り方を書きたい人は紙に書いてもらって構いません。また、家でつくれそうでしたら、ぜひやってみてください!」
「はい。」
こうして皆さんで協力して作った献立は出来上がったらお店の机にそれぞれ着いて食べたり飲んだりした。
「それでは出来上がりましたね。いただきます。」
「いただきます。」
手を合わせて食べ始めると美味しいとみんな言ってくれた。
美味しいと言ってくださるのが何より嬉しかった。