第4章 太陽と惑星
アツクラのオフイベントでリーダーになってしまった。
なってしまった、はおかしいかもしれないけど。俺にはドズルみたいに人をまとめることは出来ないし、そもそも日にちを覚えておくのも苦手だ。カウントダウン? 抱負? なんも考えていないよ、俺……。
今回に限って、ドズル社メンバーは他にリーダーになってないし。俺、誰に予定教えてもらうの? もう嫌だよ……。
拒否しなかった俺も悪いかもだが、それでも「リーダーといえばぼんさん」なんて言われたらちょっと調子に乗っちゃったり。
リーダーか。思えばいつも、リーダーはドズルに任せてきてばかりだった。
ドズルは俺とは違って決断力も、判断力も優れる。俺とは全くの正反対だ。俺には出来ない。だからこそみんなドズルにはついて行くし、俺だってドズルじゃなかったらここまで来られなかっただろう。みんなで集まって、色んなイベントをするようになって。
そう思う程遠く感じる。あんなに隣にいるのに、そうだ、まるで太陽みたいな人だ。俺は太陽の周りを回る惑星で、これからも自分から光ることはないんだろう。俺は、照らされるだけだ。
月でも地球でもない名もなき惑星。
「ぼんさん、何してるんですか」
とドズルに声を掛けられてハッとする。余計なことを考えていたせいだ。俺が操作していたプレイヤーが画面の中でたった今マグマダイブを決め込んだ。うわぁ、マグマキューブかよ〜と俺が大袈裟に騒ぎ立てれば、クツクツと笑いが広がって話は終わる。
俺はマウスとキーボードを動かして立て直しを始めた。向こうからドズルが操作するプレイヤーがやって来た。
「ネザゲ開いたんで道案内に来ましたよ」
「おー、ありがとう〜」
もう少し、アナタの惑星でもいいかもなと思えた。
おしまい