第1章 雪は降り積もる
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「で?」
ドラマの途中で呼び出された土方は不機嫌極まりなく煙草に火をつけ紫煙をふかせた
「浪人如きに狼狽えてんのは誰だって?なあ山崎」
「え゛、だってこの浪人死んでるかもしれないんですって!」
「そういうのは迅速に処理するもんなんだよ。犯人たるもの証拠は残さず無駄のない動きをするのが鉄則だ」
「副長、刑事ドラマの再放送だったんですか」
うんうんと独りでに妄想に浸る土方に突っ込みを入れた山崎であったが、体育座りでうずくまる浪人を指さすと土方に目線を送り助けを求めた
「…はあ、」
土方は心底面倒臭そうに浪人の前にしゃがみ頭の上の雪を払うと肩を揺らし声を掛ける
「おい、お前こんなところで死なれちゃ困るんだが」
『ん…?』
うっすら目を開けた浪人、しろなは目の前の土方の顔を見ては、うう…と声を発した
「生きてんじゃねえか。おい、女にでも振られて自棄になったか?ここはお悩み相談所じゃあねえんだ帰んな」
『女に振られる…?あんた頭おかしいんじゃねえの?』
か細い声だが悪態を吐くしろなに苛つきを覚えた土方は、てめえ、と胸倉を掴んで立たせようとした
が、
「副長!危ない!」
後ろから隊士の声がし、振り返ると落下してくる何かが。
掴んでいた服を離ししろなをその場に置き去りにすると安全確保のため自分はその場を離れた
次の瞬間…
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