• テキストサイズ

D.World 2

第3章 追憶











ーーデータが破損…?ーー

記憶をデータとして保存するだけだった筈。
それがどういう事か、私は今
何も聞こえない
何も見えない
何も感じられない

五感という全ての機能が失われた
真っ暗な場所に居る








3章  ー追憶ー







真っ暗な暗闇の中、ただ目を閉じて立っている
腕を伸ばして周りに触れようとするが、何かに当たって止まらない限り、当たったことにさえ理解できない状態だ。

思考も普段よりずっと使い物にならない。

せめて、何か情報が欲しい。


人差し指を立て、誰かに気付いて貰える事に期待しながら、腕を動かした。

見えない事で、文字を書いてもズレているかもしれない。

感覚が無いせいで、抑伝えたい事が書けているのかもわからない。

声がないから、叫べもしない。

聞こえないことで、何が起きているのかも


全てが、
 わからなかった。


夢中でただ、“help”そう書いていたつもりで居た。

すると何時間たったのか、何回書いたか分からなくなった頃、私の手が誰かの手で止まった。

私の手を握るとそれは、動き出した。

感覚の無い私の腕では何を書かれても伝わって来なかった。

大きく肩まで動かして貰って漸く伝わった。

“どうしたの”

そこから私の意思が伝えられるようになった。

“データ” “はそん” “ごかん” “ない”

しかし、それを伝えた瞬間
私の手からその手は離れて行った。


“見放された”


そんな風に感じた。





.
/ 103ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp