第25章 聖女発表と…
その後、一度分かれて控え室に行き
聖女用に準備された服に着替える。
純白の衣装に金色の糸で細かく刺繍が
施された神聖なローブだった。
着替え終わった頃、控え室にノック音が響く。
返事をして出迎えるとフォルトだった。
着替えを手伝ってくれた城の侍女は部屋から
出て二人きりになる。
フォルトはルシアリアの姿を見るとウットリ
見惚れるようにため息をつく。
「ルア、綺麗だ。まるで女神みたいだ」
「フォルトは大袈裟だなぁ。でも…
ありがとう」
照れくさくて目を逸らすとフォルトが目の前に
来てジッと見つめられてるのがわかる。
「恥ずかしいからあまり見ないで…」
「ルアから目が離せないんだよ。
ほら、こっち見て」
左手を取られ手の指先に口づけされる。
いつまでも目を逸らしてるわけにもいかず
そっとフォルトの顔を見上げるとルシアリアの
左手の指先に口づけしたままで目が合う。
恥ずかしくてまた目を逸らしそうになって
視界に見慣れない物があるのに気付いて
息が止まる。
フォルトが握ってるルシアリアの左手の薬指に
指輪が嵌められていた。
指輪から目が離せず見つめる。
それは薄いピンク色の石が綺麗に加工され
シルバーのリングの上で輝いている。
「遅くなったけど…婚約指輪。
スターロードクォーツって珍しい石で
愛を豊かに育てる再生と喜びの石らしいんだ。
ピンク色でルアに合ってるし…一緒に愛を
育てていきたかったから、これに決めたんだ。
…気に入ってくれた?」
お母さんを連れてきてくれたのもサプライズで
驚かされたのにどこまで幸せにしてくれる
のだろうかと嬉しすぎて止めてた息を
再開させると共に涙が次から次に零れた。
「嬉しい…ありがとう。私…幸せだよ。
ありがとう。大好き!」
想いと共にギュウとフォルトに思い切り
抱きつく。
ルシアリアの身体を受け止め優しく
抱きしめ返す。
お互いが愛おしくて仕方ない。