第20章 隠し部屋
王様との謁見や聖女の拝命など
いろいろあり入浴(ミリーが手伝ってくれようと
したが丁重に断り一人で入った)を済ませると
疲れてすぐに眠りについた。
王城の客室のベッドなだけあり豪華で
マットも柔らかくとても寝心地が良い。
夜もふけた頃ノック音が聞こえた気がして
目が覚める。
ドアの外を見ても誰もいなかったので
ノック音は気のせいだったのだろう。
起きたついでにお手洗いに行く。
トイレを済ませて出た所で女性が蹲っていた。
「どうしました?大丈夫ですか?」
すぐさま駆け寄り顔色を伺うと暗いせいも
あるだろうが血色が悪くひどくヤツレており
ボーっとした様子で焦点が合っていない。
「今、治癒魔法を掛けますからね」
女性に回復を掛けたところまでは
覚えている。
しかしルシアリアが気付いた時には
石造りの狭く薄暗い部屋にいた。
女性の姿もない。
柔らかく寝心地の良いマットだったのに
今は硬いマットの上に寝ていた。
起き上がろうとして手足が思うように
動かせずジャラと鎖の音がした。
見上げて手首を見ると革のベルトと鎖で
繋がれている状態だ。
首を巡らせ部屋を見ると鞭やナイフなど
拷問部屋かと思われる部屋である。
増々、混乱していると足音が聞こえてきた。
「おや、もう目が覚めたのかい?」
ルシアリアのそばに来たのは第1王子の
ルークビルクだった。
「治癒魔法の使い手は本当に回復が
早いんだね。先程殴られた傷ももう
ないじゃないか。これは見込みがあるねぇ」
「…殴られた?」
「そう殴られて意識をなくしたから
覚えてないかな?ここに連れて
来たかったからちょっと手荒な事をしたよ。
場所を特定できる魔法も消したし、あの
ネックレスも何かの魔法が掛かってる
ようだったから置いてきたよ」
胸元を見るといつも身につけていた
ペンダントがなくなっていて不安が
一気に押し寄せる。
「どうしてここに…」
「それはね…」