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人魚のおもい

第3章 おしまい


わたしは、おずおずと、プレゼントを差し出した。

桑原さんはしばらく無言でいた。
いままで通ってくれてありがとうございます。
でも、僕結婚してるんで、もう、、

申し訳なさそうに、桑原さんは言った。
プレゼントは受け取ってもらえなかった。

わたしは会えるだけでよかったのに…
それでもわたしは桑原さんがお店に来てくれることを少しでも期待をしてしまっていた。

少し涙声で、ごめんなさい。

と伝えてわたしは帰った


心の行き場を失って涙がとめどなく溢れた。

もう会えないんだ…

桑原さんの笑顔の細い目や腕や、その肌のことを思いながら、

わたしは、ただ、泣いていた。


次の日、腫れた目で出勤すると

リコちゃんが待っていた。

可愛い目を尖らせて

「桑原さんのところに通ってるってほんと?」


え、あの…
わたしはしどろもどろになってしまった

怒った目でりこちゃんは続ける。

わたしのお客さんなのに…!!
せっかく善意で教えてあげただけなのに、奪ろうとしないでよ!

完全に頭に血が上ってしまっていた。
リコちゃんはまえから少し短気なところがあった。

ごめんなさい…

わたしはなんと言ったらいいか分からず、ただ謝った。

ユノちゃんを桑原さんが抱くわけないでしょ。

リコちゃんは吐き捨てるように、
勝ち誇ったように言うと、さっさと言ってしまった。

わたしは少し放心状態で、
仕事を終えると。
疲れた表情で店を出た。

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