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人魚のおもい

第3章 おしまい


店を出ると、見知った後ろ姿を見かけた。

桑原さんだ…

心臓が止まりそうなきもちで
その後ろ姿を見た。

桑原さんはほんの少しだけこちらを…見たと思う。

でもすぐ見なかったかのように目線をずらして、

お店の中に入って行った。

リコちゃんに会いに来たんだ…

頭の中まっしろになりながら、それがわかると
わたしはさっきお店を出たばかりの、りんさんに電話をしていた。

リンさんは、息を切らしながら、
待ち合わせのホテルに来た。

ベッドに入る前、

「ホントにいいの?
ユノちゃん」

と聞いてきた。

うん…、わたしはそれ以上は答えずに、黙ってりんさんに身を任せた。

リンさんが、服をぬがし、わたしの体に触れる。

桑原さんはリコちゃんを、奥さんのことをどのように抱いたのだろう。

わたしはひたすらに桑原さんのことを考えながら、リンさんを受け入れた。

あぁ、、あぁ、

桑原の気配を感じながら、わたしは果てた。

その時ほんとうに一瞬桑原さんに会えた気がしたんだ。
金色の光のなかの優しくてあったかい桑原さん…
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